三菱一号館美術館で開催されていた「アール・デコとモード」展をへ行ってきました。
1920年代を中心に広がった装飾様式・アール・デコが、当時のファッションや装身具にどのように表れていたのかを辿る展示です。

1894年に建てられた「三菱一号館」(設計:ジョサイア・コンドル)を復元した赤煉瓦の建物。
展示から感じた、アール・デコと1920年代ファッション



展示は時代ごとに構成されており、アール・デコというひとつの様式の中にも、少しずつ変化していく感覚があることが伝わってきました。
ポール・ポワレ、ランバン、シャネルといったメゾンによるドレスには、幾何学的で直線的なデザインと、抑制の効いた装飾が見られます。
華やかさの中に、構造や技術への意識がはっきりと感じられ、
「装飾でありながら過剰ではない」というアール・デコの魅力を、あらためて実感しました。
オートクチュール全盛期の女性クチュリエ

本展では、オートクチュール全盛期に活躍した女性クチュリエに焦点を当てた展示もあり、印象に残りました。
名の残るメゾンだけでなく、実際に手を動かし、技術を積み重ねてきた人たちの存在を知ることで、服や装飾の見え方が少し変わったように感じます。
完成されたドレスの背景にある、数えきれない手仕事や時間。
その積み重ねを意識すると、展示全体がより立体的に見えてきました。
1920年代のビーズに感じた、時間を重ねた素材



個人的に特に心に残ったのは、1920年ごろの主にイブニングドレスに使われていたビーズです。
普段、自分の制作でも同時代の素材を使うことがあるため、
このひと粒も、どのような工程を経て生まれ、どんな時間を辿ってここに残っているのかを想像しながら作品を見ていました。
大量生産が主流になる以前の素材には、技術だけでなく、時間や手の痕跡がそのまま宿っているように感じられます。
展示を通して、ものづくりは形だけでなく、その背景にある歴史を知ることで、より深く愉しめるのではないかと思いました。
オートクチュール刺繍と、インプットとしての展示
こうした展示を見る時間は、私自身のオートクチュール刺繍の制作にとって大切な時間だと展示を見に行くたびに感じます。
オートクチュール刺繍や服飾装飾のものづくりの背景や歴史に触れることは、制作の途中においても大切なインプットです。
その積み重ねを意識しながら、日々の制作に向き合っていきたいと思います。


