ヴィンテージビーズとは、主に1920〜30年代に作られたものが中心で、製造からおよそ30年〜100年未満のものを指します。当時は装飾用の素材として幅広く使われましたが、現代のように機械で大量生産される前の手仕事が中心だったため、ひとつひとつに微妙な色むらや形の違いがあり、まさに“手の痕跡”が残る希少な素材です。そのため現代のビーズには出せない独特の風合いや表情があり、刺繍やアクセサリー作りを楽しむ方々の目を引く素材となっています。
ヴィンテージビーズの魅力と手仕事の特徴
これらのビーズは、手作業によるガラス製法や金属加工で生み出されたため、個性豊かな表情を持っています。
当時の技法の中には、今では再現が難しいものもあります。フレンチシードビーズの微妙な焼き上げ、ルーサイトや金属ビーズの手作業による仕上げなど、職人の手仕事ならではの工程が今に残っています。
素材と特徴は以下の通りです:
- フレンチシードビーズ:微妙な色むらや輝きを出す焼き上げ。現代の機械製では再現できない風合い
- ルーサイト(アクリル強化樹脂)ビーズ:手作業での着色・研磨工程により、独特の透明感や質感
- 金属シードビーズ:薄い金属箔や手作業メッキで仕上げられ、現代ではほとんど作られていない
こうした手仕事の個性や歴史が、作品に深みや独特の表情を与えます。ヴィンテージビーズだからこそ感じられる光の揺らぎや立体感は、作品の魅力をそっと引き立てます。
なぜ1920〜30年代のビーズが残っているのか

1920〜30年代はアールデコ様式が流行し、幾何学模様や洗練されたデザインが好まれた時代です。また、第一次世界大戦後の女性の社会進出により、自由で華やかなファッションが求められ、ビーズ装飾の人気が高まりました。
パリのオートクチュール工房では、ルサージュなどの刺繍工房が発展し、手作業によるビーズ刺繍の需要が増加。まだ機械化が十分ではなかったため、ビーズや刺繍の多くは手仕事で作られていました。当時は十分に作られたビーズも、現代に残っているものは限られており、希少性の高い素材として価値があります。
こうした手仕事ならではの微妙な色の揺らぎや形の違いは、当時のデザインや作り手の個性を伝える“手の痕跡”として、今の刺繍作品にも独特の表情をもたらします。
filcoteが大切にするヴィンテージビーズの個性
ヴィンテージビーズは、ひとつひとつに手仕事の跡や微妙な色むらがあり、作品に独特の深みや表情を与えてくれます。時を経て残ってきたビーズだからこそ、光の反射や立体感にも豊かな味わいが宿ります。
filcoteでは、こうしたビーズの個性や歴史を大切にしながら、一粒一粒を丁寧に扱い、アクセサリーに取り入れています。素材の特徴や手仕事の跡を尊重しつつ、日常にそっと寄り添う作品としてお届けすることを心がけています。
ヴィンテージビーズを扱う際は、針や布との相性を確認しながら少しずつ取り入れることで、その魅力をより引き出すことができます。filcoteの作品を手に取ることで、時を経たビーズのありがたみや職人の手仕事の痕跡を感じていただければ幸いです。
