
クロモスカードを知っていますか。
私が最初にクロモスカードに出会ったのは、
フランス留学から帰り、なんとなくフランスアンティークショップのオンラインを見ていたときのことでした。
そのときはまだ詳しくは知らず、
どこか懐かしさのある可愛らしい紙もの、という印象でした。
現在、オンラインショップやPOPUPでご紹介しているクロモスカードも、
そうした出会いの延長にあります。
しかし実際に手に取ってみると、
その印象は少し変わります。
クロモスカードとは、19世紀末から20世紀初頭にかけて作られた、
フランスアンティークの印刷カードの一種です。
クロモリトグラフ(多色石版印刷)という技法によって、
複数の版を重ねながら色を刷り重ね、
豊かな色彩表現を生み出しています。
当時、これらのカードは百貨店やチョコレート会社などによって、
広告として配布されていたものでもあります。
商品購入時のおまけとして添えられたり、
子どもたちに配られたりしながら広まり、
人々はそれらを集めてアルバムに貼るなど、
コレクションとして楽しんでいました。
そのため、モチーフには子どもや動物、花など、親しみやすく魅力的な題材が多く用いられています。


可愛らしさや物語性は、
人の目を引き、手に取ってもらうための工夫でもあったと考えられます。
一方で、それらの図像には、
どこかユーモラスで、
わずかに風刺を感じさせる表現も見受けられます。
愛らしいだけではなく、
当時の社会や価値観の一端が、
小さな画面の中にさりげなく表れているようにも感じられます。
そして印象的だったのが、印刷の美しさです。
クロモリトグラフによる多色刷りは、
完全に均一な仕上がりではなく、
わずかなズレやにじみを伴います。
しかしそれこそが、
色の重なりに奥行きを与え、
一枚ごとに異なる表情を生み出しています。
実用品として制作されたものでありながら、
ここまで美しく仕上げられていることに、
当時の技術と意識の高さを感じました。
現在では、クロモスカードはアンティークとして扱われています。
コレクションとしてだけでなく、
コラージュやジャーナルの素材として、
また額装してインテリアとして楽しまれるなど、
さまざまなかたちで受け継がれています。
filcoteでは、そうしたクロモスカードを
一点ずつ選び、ご紹介しています。
選ぶ際に意識しているのは、
それぞれのカードが持つ背景やストーリーです。
オンラインショップにおいても、
その魅力が伝わるよう、
商品説明の記載に努めています。
遠い時代に手にされた小さな印刷物が、
今もなお手元に残っていること。
その時間の積み重なりや、
紙の中に宿る物語に惹かれています。
